相手の気持ちを汲み取ることが大切

介護職に携わっていると、認知症患者と接する機会も増えてくる。その時に、常識では考えられない行動を取ることもあるのだ。無意識に冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん入っていたり、介護職員と家族の見分けがつかなくなったりと、その行動は患者によってさまざま。このような行動を目の当たりにした時注意したいのが、「間違っている!」と行動を指摘したり、「なぜ勘違いしたのか?」と叱ったりすること。認知症の中でも特に記憶障害が目立つのがアルツハイマー病である。老化により、記憶に関係する側頭葉や海馬が萎縮を始め、過去の出来事を思い出せなくなったり、間違った行動を取るようになるのだ。だが、その時に指摘するような言動は避けた方が良いとされている。

また、第三者から指摘されたことによりプライドが傷ついて、心を閉ざしてしまう可能性もある。さらに、ミスをしたことを叱ったりするのは、患者の症状を悪化させる要因になる可能性もあるのだ。叱られたことで患者は精神的に萎縮してしまい、更に症状が進んでしまうことも考えられる。認知症患者のケアには、できるだけ優しく穏やかに声をかけ、患者の間違いやミスには触れないようにすると、患者も穏やかな気持ちで過ごし症状が緩やかになることも期待できる。間違った認識をしている場合には、話を合わせておくのも手だ。大切なのは、認知症で悩む患者の立場になって、患者が傷つかないように配慮することが大切である。